安全な取り扱いと災害防止について
クレトイシは、厳格な品質管理のもとに、十分、安全に配慮した製品を生産しております。厳重な製品検査に合格した製品を、安全にお届けできる包装をしておりますから、それ以後の取扱い、取付け、使用上の注意を守っていただければ、砥石は破壊することはありません。
多くの災害は危険防止への対応不足から発生しますから、使用者側においても安全と予防に細心の注意を払ってください。
1.研削砥石について
-
砥石(ビトリファイド)の強度はガラス、陶磁器より低いものです。輸送、運搬、その他取扱いに衝撃を加えないようにしてください。
砥石は、外観が非常に硬そうに見えるので、つい粗雑な取扱いとなりがちですが、ガラスや陶磁器よりはるかに弱くもろいので取扱いには十分注意してください。引張り強さ(kg/cm²) 伸び(%) 研削砥石(ビトリファイド) 24 ~ 140 0.02 磁器 240 ~ 260 (0.05 ~ 0.08) ガラス 340 ~ 850 0.05 砥石を倒したり、ものに当てたり落したりすることは、砥石に亀裂が生じ破損の原因となります。
なお、砥石を転がして運ぶことは避けてください。どうしても転がして運ぶ必要のある場合は、ゴム、板などの緩衝材を敷いてください。 -
砥石の保管は常温の乾燥した場所に、枠や棚を設け、立てかけ、薄物は数枚ずつ重ねて並べてください。
砥石は、急激な温度変化の少ない常温の乾燥した場所に枠や棚を設けて保管し、切断砥石などの薄物は平らなところに数枚ずつ重ねて並べてください。特にレジノイド砥石やマグネシア砥石は、吸湿作用により水分や湿気があると強度が低下するので、注意する必要があります。保管方法の一例を「図9-1」に示します。 -
目づまり、目つぶれ、硬すぎる砥石は過熱のため破壊する恐れがあり、より軟らかい砥石を無理に加工物に押し付けないでお使いください。
砥石が目づまりや目つぶれしたとき、または、硬すぎる砥石を使用したときの研削熱は、正常な研削が行われているときよりも多く発生し、加工物はもちろん砥石も加熱されます。(特に乾式の場合)
砥石は均一に熱される場合は、高温においても比較的安全ですが、局部的に加熱されることは(ビトリファイド砥石温度差60 ~ 70℃)亀裂破損の原因となりますので、より軟らかい(適当な粒度、結合度、組織)砥石を適度な研削圧で使用してください。 -
結合度が軟らかく粒度の粗い砥石は比較的低速度でご使用ください。なお、荒っぽい作業やメンテナンス不足な機械は危険です。
砥石は結合度が軟らかいほど、また、粒度が粗いほど強度が低いので、使用速度範囲内でもできるだけ低い使用速度でご使用ください。スイングフレーム研削やポータブル研削のような荒っぽい作業、または、修理、調整の十分行き届いていない機械に強度の低い砥石を使用することは危険です。 -
砥石の孔径の小さいものを無理に軸に押し込んではいけません。孔径は軸より少し大きめにしてください。孔径の修正は必ずクレトイシにご用命ください。
砥石の孔径の小さいものを無理に軸に押し込むような取付け方は、砥石の破損の原因になります。軸と孔のかん合がきつ過ぎると、フランジの締付けが不均一であったり、また、軸受の給油不足などにより熱膨張を起こし、その結果砥石にひび割れが生じ思わぬ事故の原因になります。研削砥石の孔径の許容差は「表9-1」のとおりです。表9-1 孔径の許容差表(単位:mm)
孔径 機械研削用 高圧研削用 切断用ならびにばり取り
およびきず取り用(H) 寸法許容差(1) (H) 寸法許容差(1) (H) 寸法許容差(1) 1.6 ≦ H ≦ 50 +0.16
0152.4 ≦ H < 203.2 +0.46
+0.21H < 50.8 +0.30
+0.1050 < H ≦ 80 +0.19
0203.2 ≦ H ≦ 304.8 +0.55
+0.2650.8 ≦ H +0.40
+0.1080 < H ≦ 180 +0.25
0304.8 < H +0.65
+0.33180 < H ≦ 250 +0.29
0注(1)固定側フランジのパイロット径または砥石軸径の寸法許容差がf7 以上の精度である場合に適用する。250 < H ≦ 315 +0.32
0315 < H ≦ 400 +0.36
0400 < H ≦ 500 +0.40
0500 < H +0.44 -
平形砥石の側面を使わないようにし、側面使用の場合は、カップ形、さら形、リング形、テーパー形などの砥石をお使いください。
平形砥石の側面を使用することは非常に危険です。側面使用の場合は、側面用砥石をご使用ください。 -
図9-2 研削砥石の使用限界について
研削砥石の使用限界について
研削砥石の使用限界は、平形砥石の場合はフランジから出ている部分の1/10、へこみ形砥石の場合は、へこみを除いた部分の1/5の位置までが目安です。 -
砥石の使用周速度は検査票に記載された最高使用周速度以下でご使用ください。
最高使用周速度は、安全上絶対に守らなければならないものであり、どのような場合もこれをこえた速度で使用してはいけません。
最高使用周速度とは、研削砥石が安全に使用できる最高限度の周速度のことをいい、毎秒何メートル(m/s)の単位で表示します。
最高使用周速度は、研削砥石の種類によって異なっています。
「表9-2」は、研削砥石の普通周速度を示したものです。研削砥石の周速度(m/s)=- π×砥石の直径(mm)×研削盤の回転数(min-1)
- 60,000
表9-2 砥石の普通使用周速度の限度(単位:m/s)
研削砥石の種類 研削砥石の普通使用周速度の限度 結合剤が
無機質のもの結合剤が
有機質のもの平形 補強しないもの 一般用のもの 33 50 超重研削用のもの - 63 ねじ研削用のもの及びみぞ研削用のもの 63 63 クランク軸及びカム軸研削用のもの 45 50 補強したもの 直径が100mm 以下で厚さが25mm以下のもの - 80 直径が100mmをこえ205mm以下で厚さが13mm以下のもの - 72 その他の寸法のもの - 50 片テーパ形、両テーパ形、片へこみ形、両へこみ形、セーフティ形、さら形及びのこ用さら形 33 50 ドビテール形 一般用のもの 33 50 ねじ研削用のもの及びみぞ研削用のもの 63 63 逃付き形 一般用のもの 33 50 クランク軸及びカム軸研削用のもの 45 50 リング形及びリング形のセグメント 30 35 ストレートカップ形及びテーパカップ形 30 40 ディスク形及びディスク形のセグメント 33 45 オフセット形(直径が230mm以下で厚さが10mm以下のもの) 補強しないもの - 57 補強したもの - 72 切断 補強しないもの - 63 補強したもの - 80 -
研削砥石は、外径と孔径や細部寸法の関係で回転速度が違ってきます。ご使用の研削砥石の周速度や寸法の制限をこえてご使用しないでください。
「表9-3」は研削砥石の周速度別寸法制限表です。普通周速度をこえる研削砥石は「高速度研削砥石」と呼ばれ、さらに厳しく規制されています。表9-3 研削盤等構造規格(第14条)による周速度別寸法制限表(単位:mm)
研削砥石の
最高使用
周速度区分
(単位:m/s)研削砥石の
種類寸法 外径
(D)厚さ
(T)孔径
(H)へこみ径
(P)取付け部の
厚さ(E)取付け部の
平行部の径
(J又はK)縁厚
(W)普通速度 全種類 切断砥石にあっては1.500以下 0.7D以下 1.02Df+4以上 ストレートカップ形砥石およびテーパーカップ形砥石にあってはT/4以上、片へこみ形砥石、両へこみ形砥石、皿形砥石およびのこ皿形砥石にあってはT/2以上 Df+
2R以上E
以下普通速度以外の速度 45m/s
以下平形砥石、片テーパー形砥石、両テーパー形砥石、片へこみ形砥石、両へこみ形砥石、セーフティー形砥石、ドビテール形砥石及び逃付き形砥石 1.065
以下D/75以上
610以下0.6D以下 1.02Df
+4以上2/3T以上 Df+
2R以上45m/s
をこえ
60m/s
以下平形砥石、片テーパー形砥石、両テーパー形砥石、片へこみ形砥石、両へこみ形砥石、セーフティー形砥石、ドビテール形砥石、逃付き形砥石およびオフセット形砥石 1.065以下 D/50以上
305以下0.5D以下 1.02Df+4以上 2/3T以上 Df+
2R以上60m/s
をこえ
80m/s
以下平形砥石、ドビテール形砥石、オフセット形砥石および切断砥石 切断砥石にあっては1.500以下その他の研削砥石にあっては760以下 D/50以上
152以下0.33D以下 Df+
2R以上80m/s
をこえ
100m/s
以下平形砥石、ドビテール形砥石、オフセット形砥石および切断砥石 切断砥石にあっては1.500以下その他の研削砥石にあっては760以下 D/50以上
80以下0.2D以下 Df+
2R以上備考
1.この表において、Df はフランジの直径を、R はへこみの丸みの内半径を表わすものとする。
2.この表に定めない寸法は、任意とする。表9-4 高速度研削砥石の特別表示 色調
最高使用周速度区分 色調 JIS R 6241をこえ45m/s以下 青色系統 45m/sをこえ60m/s以下 黄色系統 60m/sをこえるもの 赤色系統 高速研削砥石の特別表示
備考
1.色帯の幅は20mm 程度とする。
2.(2)の場合の色帯の外径はフランジ径より大きいこととする。 -
研削砥石には標準寸法と、寸法許容差の規格があります。砥石を安全にお使いいただく為に、規格を守るようにしてください。
表9-5 研削砥石の標準寸法(単位:mm)
外径(D) 厚さ(T) 孔径(H) へこみ径
(P)A系列 B系列 A系列 B系列 A系列 B系列 3
4
5
6
8
10
13
16
20
25
32
40
50
63
80
100
125
150
200
250
300
350/356
400/406
450/457
500/508
600/610
750/762
900/914
1060/1067
1250
15003
4
5
6
8
10
13
16
19
22
25
28
32
38
45
50
65
75
90
100
115
125
150
180
205
230
255
280 (4)
305
355
380
405
455
510
560
585
610
660
760
915
1065
1250
1500
0.6
0.8
1.0
1.25
1.6
2.0
2.5
3.2
4
5
6
8
10
13
16
20
25
32
40
50
63
80
100
125
160
200
250
315
400
500
6000.3 (2)
0.5
0.8
1.0
1.5
2.0
2.5
3
3.5 (2)
4
4.5 (2)
5
5.5 (2)
6
8
10
13
16
19
22
25
28 (4)
32
38
45
50
65
75
90
100
125
150
205
255
305
405
510
6101.6
2.5
4
5
6
10
13
16
20
25
32
40
50.8
76.2
127
152.4
203.2
304.8
5081.59
2.38
3.18
3.97
4.77
6.35
9.53
12.7
15 (1)(2)
15.88
19.05
22 (1)(3)
22.23
25.4
30 (3)
31.75
38.1
44.45
50.8
63.5
76.2
101.6
127
152.4
177.8
203.2
228.6
254
304.8
355.6
406.4
50810
13
16
19
25
32
40
45
50
63
80
90
100
120
125
135
150
160
190
205
215
220
235
250
280
300
310
330
350
370
390
400
450
510
585
630
760注
(1)オフセット形砥石の場合に限る。
(2)切断砥石の場合に限る。
(3)軸付砥石及びのこ用さら形の場合に限る。
(4)ナット付リング形砥石の場合に限る。備考
(1)AとBはまぜないこと。
(2)E、WなどはTの基準寸法による。表9-6 一般用途用研削砥石(機械研削用)の寸法許容差(単位:mm)
外径 厚さ へこみ 縁厚 (D) 寸法
許容差(T、U) 寸法
許容差(P) 寸法
許容差(W) 寸法
許容差3 ≦ D ≦ 8 ± 0.5 0.4 ≦ T、
U ≦ 1.6+ 0.2
03.2 ≦ P ≦ 8 + 0.8
0W ≦ 25 ± 1.5 8 < D ≦ 20 ± 0.8 1.6 < T、
U ≦ 5± 0.4 8 < P ≦ 20 + 1.2
025 < W ≦ 50 + 2.0
- 1.520 < D ≦ 50 ± 1.2 5 < T、
U ≦ 16± 0.8 20 < P ≦ 50 + 2
050 < W + 3.0
- 1.550 < D ≦ 125 ± 2 16 < T、
U ≦ 50± 1.5 50 < P ≦ 125 + 3.2
0125 < D ≦ 300 ± 3.2 50 < T、
U ≦ 160± 2 125 < P ≦ 315 + 5
0300 < D ≦ 762 ± 5 160 < T、
U ≦ 500± 3.5 315 < P ≦ 900 + 8
0762 < D ≦ 2000 ± 8 表9-7 高圧研削用、切断用ならびにばり取りおよびきず取り用研削砥石の寸法許容差(単位:mm)
超重研削用 切断用ならびにばり取りおよびきず取り用 外径 厚さ 外径 厚さ (D) 寸法
許容差(T) 寸法
許容差(D) 寸法
許容差(T、U) 寸法
許容差356 ≦ D < 508 ± 5 40 ≦ T ≦ 80 ± 1.5 D < 250 ± 1 T、U ≦ 1.6 ± 0.2 508 ≦ D ≦ 762 ± 5.5 250 ≦ D < 600 ± 2 1.6 < T、U ≦ 3.2 ± 0.3 600 ≦ D < 750 ± 3 3.2 < T、U ≦ 4 ± 0.4 80 < T ≦ 152 ± 2 750 ≦ D < 1000 ± 4 4 < T、U ≦ 5 ± 0.6 1000 ≦ D ≦ 1800 ± 5 5 < T、U ≦ 6 ± 0.8 762 < D ≦ 914 ± 7 6 < T、U ≦ 10 ± 1 10 < T、U ≦ 16 ± 1.2 -
取付け時および使用中も時々砥石の平衡を調べ、不平衡を調節してください。
研削といしのような高速回転体には、当然平衡度(バランス)の良否が大きな問題となります。
研削といしの平衡度は、軽い側の外周に何グラムの錘をつければバランスが取れるかを試験し、この値を最大許容値 Ua の記号で表しています。
平衡度の最大許容値 (Ua)
平衡度の最大許容値(Ua)は、Ua = ma × r を用いて求めます。ただし、 ma = k1 m1
ここで、 ma : 研削といしの円周上に中心をもつおもりの質量- m1
- 研削といしの質量(kg)
- r
- 研削といしの半径(mm)
- k1
- 研削といしの最高使用周速度と研削といしの種類とによって決まる係数
研削砥石の最高使用周速度
m/s研削砥石の種類 係数 k1 普通速度 ビトリファイド研削砥石 7 レジノイド研削砥石 6 レジノイドオフセット研削砥石 6.7 レジノイド切断砥石 10 高速度 33 を超え 45 以下 すべての種類 6 45 を超え 60 以下 すべての種類 5 60 を超え 80 以下 すべての種類 4 80 を超え 100 以下 すべての種類 3 不平衡は振動の原因となり精密研削ができないばかりでなく、破壊を起こす恐れもあります。 湿式研削の場合は、砥石の回転を止める前に、研削液を止めてしばらく砥石を空転させ(5 分間位)、研削液を振り切って不平衡にならないようにご注意下さい。
2.研削砥石の取り付け具について
-
研削盤と研削砥石が規格どおりに完全に製造され、保守管理が行き届いていたとしても、取り付け方法が不完全であると研削砥石の破壊事故をはじめ研削性能が悪くなるなど種々のトラブルのもとになります。
研削砥石は、フランジで研削盤に取り付けますが、寸法規格に適合し、きずや変形していないフランジを使用しましょう。フランジの締め付けは、ラベルの破れや異物の付着などに注意して適正トルクで行ってください。使用開始から10 年以上経過しているフランジは、定期検査をしてください。- ストレートフランジ
ストレートフランジの直径は、取付ける研削砥石の直径の1/3以上、逃げの値は1.5ミリメートル以上、接触幅は、研削砥石の直径に応じて表9 - 9の値でなければなりません。また、ストレートフランジとは、図9 - 4の形状のフランジで主として自由研削用の研削砥石に使用されます。ただし、最高使用周速度が毎分4,800メートル以下の補強した切断砥石(切断荷重が71キログラム以上のガラスクロスそのほかの材料で補強したものに限る。)に取り付けるストレートフランジの直径は、当該切断砥石の直径の4分の1以上とすることができます。
表9-9 砥石直径と接触幅
研削砥石の直径(mm) 接触幅(mm) 65 以下 0.1Dfをこえ0.26Df未満 65 をこえ355 以下 0.08Dfをこえ0.18Df未満 355 をこえるもの 0.06Dfをこえ0.18Df未満 備考
この表においてDfはフランジの直径を表わすものとする図9-4 ストレートフランジ
表9-10 ストレートフランジの形状・寸法
砥石
直径Dフランジ
最小径Df接触幅C フラット部
の最小厚F逃げ部の
最小厚E砥石最小
穴径締め付け
トルク最小 最大 一般 切断 N・m kg-cm 25 10 1.6 3.2 1.6 1.6 3.18 - - 50 19 3.2 4.8 3.2 2.5 6.00 1 10 75 25 3.2 4.8 4.8 2.5 6.00 1 15 100 35 3.2 4.8 4.8 3.2 9.53 9.53 3 30 125 42 4.8 6.4 6.4 3.2 9.53 9.53 4 40 150 50 6.4 13 10 4.8 12.70 9.53 11 110 180 65 6.4 13 10 4.8 12.70 9.53 17 170 205 75 6.4 13 10 4.8 12.70 9.53 20 200 255 90 8 16 10 6.4 15.88 12.7 30 300 305 100 8 16 13 8 19.05 19.05 34 350 355 115 10 19 13 8 22.23 22.23 59 600 405 140 13 25 13 8 25.40 25.4 108 1.100 455 150 13 25 16 10 25.40 25.4 118 1.200 510 180 16 32 16 10 38.10 25.4 255 2,600 560 190 16 32 16 11 38.10 25.4 275 2,800 610 205 19 32 16 11 38.10 25.4 319 3,200 660 220 19 32 16 13 50.80 25.4 710 255 22 38 19 13 50.80 44.45 760 255 22 38 19 16 50.80 44.45 915 305 25 50 22 19 50.80 44.45 1.065 355 30 50 22 19 60.32 1.250 405 32 50 30 25 60.32 1.500 510 32 50 32 30 ※グラインダ安全必携 第12版より (単位:mm)
- スリーブフランジおよびアダプタフランジ
スリーブフランジおよびアダプタフランジの直径は次式により算出した値でなければなりません。また、接触幅は砥石直径に応じて「図9-12」の値以上でなければなりません。なおスリーブフランジとは「図9-5」の形状のフランジで主として機械研削用に、アダプタフランジとは、「図9-6」の形状のフランジで主として粗研削用の砥石に使用されます。
(注)アダプタフランジは高速度で使用される研削砥石に取り付けてはいけません。
Df ≧ k(D - H)+ H Df:フランジの直径(mm)
- D
- といしの直径(mm)
- H
- フランジのパイロットの直径(mm)
- k
- 定数で「表9-11」による
表9-11 定数値表
研削砥石の
直径(mm)k 普通速度で使用
される研削砥石普通速度以外の速
度で使用される研
削砥石610 未満 0.13 0.15 610 以上
760 未満0.11 0.13 760 以上
1.065 未満0.10 0.12 1.065 以上 0.08 0.10 表9-12 フランジと砥石の接触幅(単位:mm)
研削砥石の直径 値 スリーブフランジ アダプタフランジ 普通速度
で使用
される研
削砥石普通速度
以外の速度
で使用され
る研削砥石普通速度で使用
される研削砥石100以下 4 5 8 100をこえ
125以下6 7 12 125をこえ
205 以下7 8 15 205をこえ
305以下10 12 22 305をこえ
405以下13 16 22 405をこえ
610以下13 20 22 610をこえ
1,065以下16 25 32 1,065以上 32 32 – 図9-5 定数値表
図9-6 フランジと砥石の接触幅(単位:mm)
表9-13 スリーブフランジ(ISO 形)の形状・寸法
研削砥石 フランジ 締め付けトルク 40kg/cm2 80kg/cm2 孔径H 直径D Df C B N S V P 本数×
呼び(インチ)N-m kg-cm N-m kg-cm 76.2 255 115 12 11 12 4 19 65 6×M6
(1/4)3 30 5 50 〃 305 115 12 11 12 4 19 65 6×M6
(1/4)〃 〃 〃 〃 101.6 255 140 12 11 12 4 19 85 6×M8
(5/16)4 40 8 80 〃 305 140 12 11 12 4 19 85 6×M8
(5/16)〃 〃 〃 〃 127 255 165 12 11 12 4 19 110 6×M8
(5/16)6 60 10 100 〃 305 165 12 11 12 4 19 110 6×M8
(5/16)〃 〃 〃 〃 〃 355 175 16 13 16 6 25 110 6×M10
(3/8)10 100 15 150 〃 405 175 16 13 16 6 25 110 6×M10
(3/8)〃 〃 〃 〃 〃 455 185 20 16 20 6 29 110 8×M10
(3/8)〃 〃 〃 〃 〃 510 185 20 16 20 6 29 110 8×M10
(3/8)10 100 15 150 152.4 355 200 16 13 16 6 25 130 6×M10
(3/8)12 120 20 200 〃 405 200 16 13 16 6 25 130 6×M10
(3/8)〃 〃 〃 〃 〃 455 210 20 16 20 6 29 130 8×M10
(3/8)〃 〃 〃 〃 〃 510 210 20 16 20 6 29 130 8×M10
(3/8)〃 〃 〃 〃 177.8 405 230 20 16 20 6 29 160 8×M10
(3/8)15 150 25 250 〃 455 230 20 16 20 6 29 160 8×M10
(3/8)〃 〃 〃 〃 〃 510 230 20 16 20 6 29 160 8×M10
(3/8)〃 〃 〃 〃 203.2 405 260 20 16 20 6 29 180 8×M12
(1/2)20 200 30 300 〃 455 260 20 16 20 6 29 180 8×M12
(1/2)〃 〃 〃 〃 〃 510 260 20 16 20 6 29 180 8×M12
(1/2)〃 〃 〃 〃 〃 610 260 20 16 25 6 35 180 8×M12
(1/2)〃 〃 〃 〃 228.6 405 290 20 16 25 6 35 205 8×M16
(5/8)30 300 49 500 〃 455 290 20 16 25 6 35 205 8×M16
(5/8)〃 〃 〃 〃 〃 510 290 20 16 25 6 35 205 8×M16
(5/8)〃 〃 〃 〃 〃 610 290 20 16 25 6 35 205 8×M16
(5/8)〃 〃 〃 〃 254 455 320 20 16 25 6 35 232 8×M16
(5/8)35 350 54 550 〃 510 320 20 16 25 6 35 232 8×M16
(5/8)〃 〃 〃 〃 〃 610 320 20 16 25 6 35 232 8×M16
(5/8)〃 〃 〃 〃 304.8 510 365 20 16 20 6 29 280 8×M16
(5/8)39 400 59 600 〃 610 365 20 16 25 6 35 280 8×M16
(5/8)〃 〃 〃 〃 〃 760 380 25 19 25 6 35 280 8×M16
(5/8)44 450 69 700 〃 915 380 25 22 25 6 35 280 10×M16
(5/8)39 400 64 650 〃 1.065 380 ※ 25 22 25 6 35 280 10×M16
(5/8)〃 〃 〃 〃 355.4 610 420 25 22 25 6 35 304 10×M16
(5/8)44 450 64 650 〃 760 420 25 22 25 6 35 304 10×M16
(5/8)〃 〃 〃 〃 〃 915 420 ※ 25 22 25 6 35 304 10×M16
(5/8)〃 〃 〃 〃 〃 1.065 440 25 22 25 6 35 304 10×M16
(5/8)49 500 74 750 406.4 1.065 500 32 25 25 6 35 370 10×M20
(3/4)88 900 127 1.300 〃 1.250 500 32 25 25 6 35 370 10×M20
(3/4)〃 〃 〃 〃 508 1.250 600 32 25 25 6 35 480 10×M20
(3/4)118 1.200 147 1.500 注:1、※印のものは、規格に包含するものとしては取り扱われる。
2、V・取り付け時も最小厚さ(門形の場合は取付部の厚さ) - ストレートフランジ
-
フランジを締め付けるネジは、締り勝手とし必要以上に締め過ぎないようにし、トルクレンチで締め付けてください。
フランジを締め付けるネジは、砥石軸の回転と反対方向にナット(またはボルト)を回せば締まるようにしてください。すなわち、砥石に向かってその回転方向が、時計の針と同一ならば左ネジを、反対ならば右ネジを使用してください。締め付けは必要以上の力で締め付けず、「図9-7」の順序で、「表9-10」、「表9-13」の締め付けトルクを参考にトルクレンチで締め付けます。仮締めした後に、本締めを行います。図9-7 スリーブフランジの締め付け方
-
フランジは誤った取り付け方をしないでください。
誤った取り付け方は研削砥石の破壊を引き起こす原因となります。「図9-8」、「図9-9」を参考に誤った取り付け方法を避け、正しい取り付け方法を行ってください。図9-8 ストレートフランジ
図9-9 スリーブフランジの締め付け方
3.砥石の覆い・保護具について
-
機械や軸受の振動を防ぎ、また砥石の破損に十分耐えうる安全カバーを整備してください。
研削砥石の覆いは安全カバーと呼ばれ、材質、防護箇所、厚さ(表9-14)、間隙の調整などが細かく規制されています。覆いの開口部は研削盤の種類に応じて「図9-11」によることが定められています。(研削盤等構造規格:第21条)図9-10 砥石の覆い
-
(イ)円筒研削盤、心なし研削盤 、工具研削盤、万能研 削盤その他これらに類する研削盤
-
(ロ)携帯用研削盤、スイング研削盤 、ビレット・スラブ研削盤その他これらに類する研削盤
-
(ハ)平面研削盤、切断 用研削盤その他これらに類する 研削盤
-
(ニ)いばり取り作業等に 使用することを目的と する卓上用研削盤又は床上用研削盤
-
(ホ)研削砥石の上部を使用することを目的とする卓上用研削盤又は床上用研削盤
-
(ヘ)(ニ)及び(ホ)以外卓上用研削盤、床上用研削盤その他これらに類する研削盤
表9-14 圧延鋼板を材料にする覆いの厚さ(バンド型の覆いを除く)
研削砥石
の最高
使用周速度
(m/s)研削砥石の
厚さ(mm)研削砥石の直径(mm) 150以下 150をこえ
305以下305をこえ
405以下405をこえ
510以下510をこえ
610以下610をこえ
760以下760をこえ
1,250以下A B A B A B A B A B A B A B 33以下 50以下
50をこえ100以下
100をこえ150以下
150をこえ205以下
205をこえ305以下
305をこえ405以下
405をこえ510以下1.6 1.6
1.9 1.6
2.3 1.6
-
-
-
-2.3 1.9
2.3 1.9
3.1 2.7
3.9 3.5
4.5 4.3
-
-3.1 2.3
3.1 2.3
3.9 3.1
5.5 4.5
5.5 4.5
7.0 6.3
-3.9 3.1
4.5 3.9
6.3 3.9
6.3 4.5
6.3 4.5
7.9 6.3
8.7 7.05.5 3.9
6.3 3.9
7.0 4.5
7.0 4.5
7.0 4.5
8.0 6.3
8.7 7.06.3 4.5
7.0 4.5
7.9 5.5
7.9 5.5
7.9 5.5
9.0 6.7
9.5 8.77.9 6.3
8.7 6.3
9.5 7.9
9.5 7.9
9.5 7.9
11.0 8.7
12.7 10.033をこえ
50以下50以下
50をこえ100以下
100をこえ150以下
150をこえ205以下
205をこえ305以下
305をこえ405以下
405をこえ510以下2.2 1.6
2.4 1.6
3.2 1.6
-
-
-
-4.2 3.4
4.4 3.8
5.8 4.9
7.0 5.6
8.0 6.9
-
-4.5 3.8
5.4 4.2
6.3 5.4
8.8 7.0
9.3 7.7
10.5 9.4
-5.5 4.4
6.6 5.5
8.3 6.0
9.4 7.0
9.9 7.7
12.0 9.9
13.0 11.06.6 4.9
7.7 5.5
8.8 6.6
10.0 7.0
10.5 7.7
12.5 9.9
13.0 11.07.7 6.0
8.0 6.0
9.0 7.0
10.5 7.8
11.0 8.3
13.6 10.8
14.5 12.710.0 7.7
10.5 7.7
12.0 9.7
13.0 10.0
14.5 11.0
17.0 13.0
19.0 16.050をこえ
80以下50以下
50をこえ100以下
100をこえ150以下
150をこえ205以下
205をこえ305以下
305をこえ405以下
405をこえ510以下3.1 1.6
3.1 1.6
4.7 1.6
-
-
-
-7.9 6.3
9.5 7.9
11.0 9.0
12.7 9.5
14.0 11.0
-
-7.9 6.3
9.5 7.9
11.0 9.5
14.0 11.0
15.8 12.7
15.8 14.0
-7.9 6.3
9.5 7.9
11.0 9.5
14.0 11.0
15.8 12.7
19.0 15.8
20.0 17.47.9 6.3
9.5 7.9
11.0 9.5
14.0 11.0
15.8 12.7
19.0 15.8
20.0 17.49.5 7.9
9.5 7.9
11.0 9.5
14.0 11.0
15.8 12.7
20.0 17.4
22.0 19.012.7 9.5
12.7 9.5
17.9 12.0
19.0 12.7
22.0 15.8
26.9 20.0
30.0 23.8(注)A は覆いの周板の厚さを、B は覆いの側板の厚さを示します。 厚さは、上記表の数値以上でなければなりません。鋳鉄、可鍛鋳鉄又は鋳鋼を材料に使用する覆いの厚さは、前項の値に材料の種類に応じて、右の表に掲げる係数を乗じて得た値以上でなければなりません。
材料の種類 係数 鋳鉄 4.0 可鍛鋳鉄 2.0 鋳鋼 1.6 -
-
図9-11 卓上グラインダーのワークレストと調整片
卓上グラインダー等のワークレストと砥石の間隔は3mm以内に、また調整片は3~10mmになるように調節してください。
両頭研削用の卓上グラインダーのワークレストは、安全な作業を行うために必要な設備です。工作物がレストと砥石の間に挟まれないように間隔を1~3mm以内に調整してください。また、砥石と調整片のすきまは3~10mm以内に調整してください。この間隔は、研削砥石が減るにしたがって調整しますが、砥石の回転中にワークレストや調整片の調整をしてはいけません。 -
図9-12 シールドと保護メガネ
研削作業には、保護メガネおよび防じん装置を使用してください。
研削作業では、粉じんが作業者の目に飛び込んで傷害を起こすことが多いので、研削粉じんの飛来を防止するために、安全ガラスや透明プラスチック材の板を作業点の前面に置いておく必要があります。このような板を“シールド”と呼びます。研削作業では、シールドを取り付けるか、保護メガネを使用します。シールドを用いた上で、保護メガネの使用を推奨します。もしシールドを使用しない場合には、必ず保護メガネを着用してください。 -
研削作業には、粉じん対策をして下さい。
研削砥石の砥粒であるアランダムやカーボランダムの微粉は、長期間にわたってこれを吸引すると健康障害を起こします。乾式研削作業の際に発生するこの有害な微粉じんを、作業者が吸い込まないように、防じんマスクを使用したり、発生した場所でこれをとらえる集じん装置を設置したりして、作業場に粉じんの流出を防ぐ措置をとるようにして下さい。
4.研削砥石の取付けと試運転
-
取付け前に外観を調べ、きずの有無を確かめ、木づちで全面にわたり軽くたたいて、清音を発するものをご使用下さい。
運搬、保管その他の取扱いの不備によるきずやひびがないか、砥石の全面をよく調べて下さい。さらに、砥石の側面を木づちで軽くたたいて、清音を発するものをご使用ください。ビトリファイド砥石は澄んだ金属音を出し、レジノイド砥石はやや鈍い音を出すのが正常です。湿気を帯びた砥石は、濁音を発し、ひびの発見を困難にするのみならず、不平衡の原因となりますからご注意下さい。砥石の取付けが終わったら、3分間以上空転した後に作業を開始して下さい。この場合砥石の正面に立つことは危険ですから避けて下さい。 -
砥石の表面に異物が無いことを確認し、フランジと砥石の間には必ずパッキン(クレトイシのラベル)を入れましょう。
クレトイシのラベルは紙質、厚さなど十分に安全に考慮して砥石に貼り付けています。 -
研削砥石の交換後、また作業の開始前には試運転をして下さい。
砥石を取り替えた時は3分間以上、作業の開始前には1分間以上の試運転(空転)をして、機械の振動や異常音、砥石の面ブレなど異常が無いかを確認して下さい。もし、異常(異常音など)を発見したら、即スイッチを切り、詳細に砥石および機械を点検してその原因をつきとめて下さい。研削砥石の取付けと試運転の流れ
- 研削砥石の寸法・周速を確認する
- 砥石の外観を検査する
- 砥石の打音検査する
- フランジの点検・掃除をする
- フランジを取り付ける(締め付け)
- バランスを取る
- 覆い、ワークレスト、防塵具等を調整する
- 保護具を着用する
- 試運転をする
- ツールイングをする
- 試し削りから研削加工へ
- 約24時間後にボルトの増し締めをする